「TIR証券に興味を持ったけど、本当に申し込んで大丈夫かな……」——その名前でここにたどり着いたなら、その"なんとなく不安"は、たいてい正しい。 ネット上には、TIR証券をめぐって「運営会社がよくわからない」「出金できない」という声があるとされている。 ただ、これはタダシが裏を取れた話ではない。 一方で、タダシが公開情報として確認できた事実がひとつある。 金融庁は令和7年7月、「TIR証券株式会社」という名称の業者を、無登録で金融商品取引業を行う者として公表した。 止めもしないし、押しもしない。 ただ、お金を入れる前に、この事実だけは一緒に確かめておきたい。 なお、この記事は「TIR証券」を違法・詐欺と断定するものではない。 タダシが公開情報で確認できた事実と、確認できなかったことを分けて、淡々と整理していく。
SNSで見かける「TIR証券」という投資案件。 金融庁は令和7年7月、「TIR証券株式会社」を無登録で金融商品取引業を行う者として名称を公表した。 運営の実態、実在する同名企業との違い、勧誘の入り口を公開情報だけで確かめたうえで、申し込む前に確認しておきたいポイントを、タダシが中立的に整理する。
この記事の目次
金融庁が「TIR証券株式会社」を無登録業者として公表した事実
TIR証券について語る前に、ひとつだけ確かな事実から確かめておきたい。 金融庁は「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」の中で、「TIR証券株式会社」という名称の業者を、無登録で金融商品取引業を行う者として公表している。
この公表のもとになった財務省関東財務局「無登録で金融商品取引業等を行う者について(TIR証券株式会社)」によると、発表日は令和7年7月23日(2025年7月23日)、所在地は東京都港区赤坂、警告の理由は「ウェブサイト上に金融商品取引業を行う旨を表示したもの」とされている。 登録を受けずに金融商品取引業を行うことは、金融商品取引法上ふつうではない。
ここで注意しておきたいのは表記のゆれだ。 金融庁・関東財務局の公表では「TIR証券株式会社」とアルファベット表記されている。 ネット上で見かける「ティーアイアール証券株式会社」という表記も同じ読みを指していると考えられるが、表記が完全に一致するかは、あなた自身でもリンク先で確かめておきたい。

実在する人材派遣会社「株式会社ティーアイアール」とは別法人
ここでタダシが一番慎重になりたいのが、名称の類似だ。 神奈川県横浜市西区みなとみらいには、株式会社ティーアイアールという、労働者派遣事業・人材紹介事業を営む実在の企業がある。 gBizINFO(法人番号9021001045387)でも法人としての登記が確認できる、平成23年設立の企業だ。
一方、金融庁が無登録業者として公表した「TIR証券株式会社」の所在地は、東京都港区赤坂だった。 横浜市西区の人材派遣会社とは、所在地がまったく異なる。 タダシが公開情報を確認した範囲では、この2社が同一の法人だと示す根拠は見当たらなかった。
つまり、「名前が似ている」というだけで、実在の人材派遣会社を金融庁の警告対象と同一視するのは早い。
名称が似ているから同じ会社だろうという思い込みこそ、まず外しておきたい一点だ。
ただし、名称が紛らわしいことが意図的なものかどうかまでは、タダシが確認した範囲ではわからない。
SNSでの勧誘という入り口に、特に慎重になりたい理由
TIR証券のような案件は、SNS上の投稿や広告、そこからのLINE誘導という入り口で接することがあるとされる。 この入り口は、公的機関がもっとも強く注意を呼びかけている形でもある。
金融庁は「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」の中で、「SNSやマッチングアプリ等を通じて知り合った者から、暗号資産やFXなどの投資商品の投資勧誘を受けて投資したところ、『返金を申し出ても返金されない』『相手と連絡が取れなくなった』などという相談が多く寄せられています」と説明している。 国民生活センターも、SNSをきっかけとした投資トラブルの相談が急増していると注意を促している。 なお、これらの注意喚起はSNS型投資勧誘全般に向けたものであり、TIR証券を名指ししたものではない。
親身に相談に乗ってくれる相手から教わった案件ほど、入金の前に一度、冷静に確かめておきたい。 「著名人と知り合いだ」「特別に紹介する」といった言葉は、信用を作るための入り口として使われやすい。 SNSやLINEのコミュニティ経由で勧誘されたなら、投資コミュニティへの参加は大丈夫?申し込み前に見ておきたい公開情報も、あわせて確認しておきたい。

「証券」を名乗る断定的な勧誘文句に注意する
TIR証券を名乗るとみられるサイトでは、運用資産残高が数兆円規模、5年間で運用資産が3倍になったといった実績が示されているという情報がある。 ただ、これは業者自身が発信している内容であり、タダシが確認した範囲では、これを裏付ける金融商品取引業の登録番号の記載は見当たらなかった。
日本証券業協会は、証券会社を名乗る投資勧誘の手口に注意を呼びかけており、正規の証券会社は原則として無登録のまま金融商品取引業を行わないと説明している。 また、金融商品取引法第38条は、不確実な事項について断定的な判断を提供して勧誘する行為を禁じている。 「必ず増える」「元本保証」といった言い切りが出てきたら、それ自体が確かめておきたいサインになる。
「証券会社」という響きに安心してしまう前に、登録の有無は金融庁の一括検索や無登録業者の公表ページで、誰でも確かめられる。 証券会社そのものの選び方に迷うなら証券会社はどう選ぶ?比較する前に確かめたい登録・保護・手数料の基本、出金の可否が不安ならその業者、ちゃんと出金できる?証券会社・業者選びの出金トラブルを公開情報で確かめるも、あわせて確認しておきたい。

判断するときに押さえたいこと
TIR証券について、タダシが公開情報で確認できた事実は、金融庁と関東財務局が「TIR証券株式会社」を無登録業者として公表したという一点に集約される。 運営の実態や出金の可否まで、こちら側ですべて裏づけることはできなかった。 だからこそ、詐欺だと決めつけるのではなく、「金融庁の公表と名称・所在地が一致するか」「実在の人材派遣会社と混同していないか」「断定的な勧誘文句がないか」を、あなた自身の手で確かめてほしい。 似た構図の案件は他にもある。 TEEDVVIPは大丈夫?運営元と「出金できない」の噂を公開情報で確かめるも、同じ視点で確認ポイントを整理している。 答えはたぶん、すでに公開情報の中にある。 最終的に判断するのは、あなた自身。 ただ、その判断材料を増やすお手伝いだけは、タダシがします。
- 勧誘・広告で見た「TIR証券」と、金融庁が公表した「TIR証券株式会社」の名称・所在地が一致するか確認した。
- 金融庁の「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」で、案件名・運営会社名を自分でも検索した。
- 「株式会社ティーアイアール」という人材派遣会社と混同していないか、所在地で見分けた。
- 出金の際に「税金」「手数料」などの名目で追加入金を求められていないか確認した。
- 判断に迷うときは、金融庁の相談窓口や消費者ホットライン188など公的な窓口に相談できることを知っている。
出典・参考情報
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」 ↗
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(TIR証券株式会社ほか・HTML版)」 ↗
- 財務省関東財務局「無登録で金融商品取引業等を行う者について(TIR証券株式会社)」 ↗
- 金融庁「無登録業者との取引は要注意!! ~無登録業者との取引は高リスク~」 ↗
- 金融庁「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」 ↗
- 国民生活センター「SNSをきっかけとして、著名人を名乗る、つながりがあるなどと勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増」 ↗
- 日本証券業協会「株や社債をかたった投資詐欺の手口」 ↗
- 金融商品取引法 第38条(e-Gov法令検索) ↗
- gBizINFO「株式会社ティーアイアール(法人番号9021001045387)」 ↗
- 株式会社ティーアイアール「会社概要」 ↗

タダシ
情報をひとつに絞らず、運営情報・料金・条件をそれぞれ確かめてみてください。判断に迷う点があれば、一緒に整理します。