「大切な人から教えてもらった投資が、なぜかうまくいかない」——そう感じてこのページに来た人もいると思う。 帰国子女や海外在住の専門家を名乗る相手からの投資勧誘、という手口の型が報告されている。 一方で、警察庁はこの手口を「SNS型投資・ロマンス詐欺」として定義し、統計を公表している(警察庁の定義・統計PDF)。 ただ、止めもしないし、押しもしない。 いま実際にやり取りしている相手がいるとしても、その人自身を詐欺師だと決めつけるつもりはない。 タダシが確かめたいのは、相手ではなく「手口の型」だ。 なお、この記事は特定の相手・投資サイトを違法・詐欺と断定するものではない。 警察庁・国民生活センターが公表している手口の型と統計を、タダシが公開情報で確認できた事実と、確認できなかったことに分けて、淡々と整理していく。

この記事の要点

国際ロマンス投資詐欺は、マッチングアプリで親密になった相手から暗号資産投資に誘導され、出金時に「税金」「調査費」名目で追加送金を求められる「無限ループ」が特徴だ。 警察庁の統計(令和7年、被害額前年比44.2%増の1,834.3億円)と国民生活センターの相談事例をもとに、手口の型をタダシが確かめる。

この記事の目次
  1. まず一度立ち止まる——「型」を知ることが最初の防御になる
  2. なぜ気づきにくいのか——「帰国子女」という人物設定と、少額出金でつくられる信頼
  3. 「投資サイト」の実体を確かめる——架空の取引所という可能性
  4. 「無登録業者リストに載っていない」は、安全の証明にはならない
  5. 出金しようとした瞬間に始まる「無限ループ」——約4000万円請求という事例に見る構造
  6. なぜ相談が急増しているのか——2018年度12件から2021年度187件へ
  7. 最新統計が示す急増——令和7年、被害額はさらに膨らんだ
  8. 送金する前に、もう一度確かめておきたいこと
  9. 判断するときに押さえたいこと
  10. 出典・参考情報

まず一度立ち止まる——「型」を知ることが最初の防御になる

「相手方が、外国人又は海外居住者を名乗り、SNSその他の非対面での連絡手段を用いて被害者と複数回やり取りすることで恋愛感情や親近感を抱かせ、金銭等をだまし取る詐欺(特殊詐欺に該当するものを除く。)」 警察庁「SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について」が示す、 国際ロマンス投資詐欺の公式な定義だ。

タダシがまず噛み砕いておきたいのは、 「非対面」「複数回のやり取り」「恋愛感情や親近感」という3つの要素だ。 一度きりの接触で終わらせず、時間をかけて関係を積み上げてから金銭を求める。 ここが、単発の勧誘広告とは違う、この手口の設計そのものになる。

ここから、この「型」を3つの角度に分けて確かめていく。

相手を疑う前に、まず手口の「型」を知っておくことが、 自分を守る一番の近道になる、とタダシは思う。 目の前の相手が誠実かどうかを見抜くのは難しい。 でも、繰り返し使われている構造を知っていれば、 同じパターンに気づいた瞬間に、一度立ち止まれる

  • ①なぜ気づきにくいのか——人物設定と信頼構築の心理設計
  • ②投資サイトという「事業」の実体——見た目だけを整えた入口
  • ③出金しようとした時に起きる「無限ループ」の構造——名目を変えて続く追加送金

なぜ気づきにくいのか——「帰国子女」という人物設定と、少額出金でつくられる信頼

出会いの入口は、 インスタグラムのDMやマッチングアプリが多い、 というのが一般的な傾向だとされている。 最初から投資の話が出ることはまれで、 趣味や仕事の話題から 少しずつ距離を縮めていく、 という手口の型が報告されている。

やり取りが進むと、 相手は「帰国子女」や「海外在住の専門家」 といった肩書きを名乗ることが多い、 という手口の型がよく報告されている。 文面がどこか不自然でも、 この設定があると 「日本語に慣れていないだけ」 と受け止めてしまいやすい。 警察庁はSNS型ロマンス詐欺について、 「翻訳アプリや生成AIを利用すれば、誰でも簡単に他人になりすますことができ」 と説明している。

相手が悪意を持っているかどうかを、 タダシから決めつけるつもりはない。 ただ、警察庁は、 直接会わずにやり取りを重ねて 恋愛感情や親近感を抱かせる手口を、 SNS型ロマンス詐欺として説明している。 こうした人物設定は、 この定義と重なる部分がある、 ということだけは伝えておきたい。

信頼をさらに補強するために、 「叔父が投資アナリストをしている」 といった第三者を登場させる演出も、 よくある手口の型として紹介されている。 会ったことのない専門家の名前が出てくると、 話に説得力が増したように感じてしまう—— この心理につけ込む演出だと見ておきたい。

最初の投資は、 少額から始まることが多いとされている。 実際に利益が出たように見える画面を示され、 「本当に儲かった」という実感を 積み重ねていく。 この段階を経て、 本格的な投資へと勧誘が進んでいく、 という流れが報告されている。

こうした「少しずつ距離を縮め、 少しずつお金の話に近づける」流れは、 怪しい投資・副業案件に共通する特徴とは?申し込む前に確かめたい3つのサイン とも重なる。 あわせて確認しておきたい。

  • ①出会う:インスタグラムのDMやマッチングアプリで接触が始まる
  • ②信頼構築:「帰国子女」等の人物設定と、第三者の専門家を登場させる演出で関係を深める
  • ③少額投資体験:小さな利益を実際に見せて、信頼を積み上げる
  • ④本格投資勧誘→出金申請:まとまった投資を持ちかけたあと、出金時に税金や手数料などの名目で追加送金を求める
  • ⑤「無限ループ」:追加送金を重ねても、結局出金できない状態が続く
  • サイン:不自然な日本語や言い回しが増えていないか
  • サイン:関係の進み方が、実際の交際より急に感じられないか
  • サイン:投資の話や第三者の専門家が、唐突なタイミングで出てきていないか

「投資サイト」の実体を確かめる——架空の取引所という可能性

国民生活センターには、こんな相談事例が寄せられている。 マッチングアプリで知り合った、自称シンガポール人の女性がいた。

無料の会話アプリでやり取りを続けるうち、 海外の暗号資産取引所だというアプリでの投資を勧められたという。 2021年10月受付の相談として、 国民生活センター「ロマンス投資詐欺が増加しています!」載っていることは確認できる

ここでタダシが確認しておきたいのは、暗号資産の運用を仲介する事業のルールだ。 暗号資産の交換業を営むには、原則として金融庁への登録が必要になる。

登録を受けていない業者が暗号資産の売買や仲介を扱っているなら、 制度の枠組みから外れていることになる。 これは特定の案件の話ではなく、一般的なルールとして押さえておきたい。

では、相手が案内してくる「投資サイト」は、この登録を受けた実在の取引所なのか。 正直に書くと、ここは確認できなかった、というケースが多い。 タダシが公開情報だけで辿れる範囲を、超えてしまうことがあるからだ。

それでも、取引所の名前を検索し、 金融庁の登録一覧と照らし合わせることは、 あなた自身でも確認できる。 仕組み全体は、 暗号資産(仮想通貨)は大丈夫?始める前に交換業者の登録と価格変動リスクを公開情報で確かめる でまとめている。

相手が見せてくる利益のグラフや取引画面は、いかにも本物らしくできている。 だが、それが実際の取引所とつながっている保証は、どこにもない。 ここは、あなた自身でも確かめられる部分だと、タダシは思う。

「無登録業者リストに載っていない」は、安全の証明にはならない

金融庁は、無登録で金融商品取引業や暗号資産交換業を行う業者について、こう説明している。 「投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できず、登録を受けている業者と同等の態勢が整っていない可能性が高い」(金融庁「無登録業者との取引は要注意!!〜無登録業者との取引は高リスク〜」)。 つまり、登録がなければ、トラブルが起きたときに頼れる公的な仕組みが弱いということだ。

金融庁はこうした無登録業者の名称を継続的に公表しているが、リストに載っていないことは、安全の証明にはならないとタダシは考えている。 公表は明らかになった業者を知らせる仕組みであって、まだ確認されていない業者を後から把握する形にならざるを得ないからだ。

これは金融庁の見解ではなく、タダシが個人的に勧める確認手段だが、ドメインの取得日をWHOIS検索で調べるのも一つの手だ。 取得されたばかりのドメインなら、それだけで詐欺だとは決めつけられないが、注意のサインにはなると思う。

以前、株選びナビでは「TIR証券」は大丈夫?金融庁の無登録業者リストで運営実態を確かめるでも、同じ確認の流れを紹介した。 見たことのない取引アプリを勧められたら、「新しいから」で片付けず、確認が終わるまで待ちたい。 それがタダシの基本姿勢だ。

  • 取引アプリやサイトのURL(ドメイン名)を確認する
  • 無料のWHOIS検索サービスにそのドメイン名を入力する
  • 「Creation Date(登録日)」を見て、取得時期が最近すぎないか確認する

出金しようとした瞬間に始まる「無限ループ」——約4000万円請求という事例に見る構造

ここまで見てきた勧誘の流れの先に待っているのが、出金しようとした瞬間に始まる「無限ループ」だ。 実際にどのような請求が重なっていくのか、公表されている相談事例で確認しておきたい。

参考にするのは、国民生活センターが公表している相談事例だ。 国民生活センター「ロマンス投資詐欺が増加しています!」によると、2021年10月受付・30歳代男性の相談だという。 個人や企業を特定できるものではなく、あくまで匿名化された内容として公表されている。

男性は、マッチングアプリで知り合った自称シンガポール人女性から、暗号資産への投資を持ちかけられた。 まず20万円を入金して取引を始め、そこでは少額の出金にも一度成功している。

その後も女性に勧められるまま投資を続けたところ、アプリの運営事業者を名乗る相手から連絡が入った。 「マネーロンダリングの嫌疑があるため、納入保証金を支払う必要がある」という内容だったという。

以降は「口座凍結解除金」「所得税」「手数料」と、次々に名目を変えて追加の送金を求められた。 合計の請求額は約4000万円にのぼり、男性は一部を支払ったものの、結局出金はできなかった。

なぜ、最初の少額出金だけは成功させるのか。 ここは推測になるが、信頼を積み上げる最後の仕上げとして機能していると考えられる。 一度出金できた実績があるからこそ、その後の追加要求も受け入れやすくなるのではないか。

そもそも、個人に対して「税金」や「マネロン調査費」の名目で追加送金を求めること自体、通常の金融機関や税務署の手続きとは異なる。 国の機関がこうした名目で個人に直接振り込みを求めることは、通常ない。

一度出金できたから安心、とはならない。 それこそが、次の要求を受け入れさせるための仕掛けかもしれない——タダシはそう見ている。

  • 税金(所得税などの名目で追加送金を求める)
  • マネロン調査費(マネーロンダリングの嫌疑を理由にした「納入保証金」)
  • 口座凍結解除金(口座凍結の解除費用として請求)
  • 手数料(出金・手続きのための費用として請求)
国民生活センターの相談事例ページ
(出典:国民生活センター「マッチングアプリで知り合った人から勧められた暗号資産の投資サイトに手数料を支払ったが、出金できない」)

なぜ相談が急増しているのか——2018年度12件から2021年度187件へ

出会い系サイトやマッチングアプリ等をきっかけにした相談は、 国民生活センターの越境消費者センター(CCJ)に、 年々増えて寄せられている。 国民生活センター「ロマンス投資詐欺が増加しています!」(2022年3月3日公表)によると、 その件数は2018年度の12件から、 2021年度(12月末までの集計)には187件まで伸びており、 資料のグラフにはそのまま「大きく増加」と記されている。

同じ資料では、 決済手段別の内訳も示されている。 2021年4月から12月までの受付分でみると、 暗号資産(仮想通貨)が54%を占め、 銀行振込が38%、 その他が8%だったという。

念のため断っておくと、 この件数は特定の相手や案件についての集計ではない。 出会い系サイトやマッチングアプリをきっかけにした投資勧誘全体に共通する傾向として、 ここでは受け止めておきたい。

タダシの受け止めとしては、 数字が増え続けているのは、 手口が洗練されてきているからでもあると思う。 暗号資産での送金は、 一度応じてしまうと後から取り戻すのが特に難しい。 この支払い手段の広がりも、 相談件数の増加を後押ししている面がありそうだ。

  • 2018年度:12件
  • 2019年度:25件
  • 2020年度:109件
  • 2021年度(12月末までの集計):187件
国民生活センターによるロマンス投資詐欺の相談件数推移
(出典:国民生活センター「ロマンス投資詐欺が増加しています!」令和4年3月3日)

最新統計が示す急増——令和7年、被害額はさらに膨らんだ

警察庁の「SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について」という資料には、 令和5年のデータがまとまっている。 SNS型投資詐欺は2,271件・約277.9億円、 ロマンス詐欺は1,575件・約177.3億円だった。 合計すると3,846件・約455.2億円にのぼる。

1件当たりの平均被害額は1,000万円を超える水準だった。 被害者の年齢層は、男性は50歳代〜60歳代、女性は40歳代〜50歳代に多い。

警察庁が公表した「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」によると、 令和7年の認知件数は15,168件で、前年比+48.2%だった。 被害額は1,834.3億円にのぼり、前年比+44.2%の増加である。 内訳は、SNS型投資詐欺が9,523件・1,288.0億円、 SNS型ロマンス詐欺が5,645件・546.4億円だった。

ただし、数字が大きいからといって、 個別の案件がそのまま詐欺だと決まるわけではない。 それでも、被害はまだ増え続けている。 だからこそ、手口の「型」を知っておく価値がある——それが、タダシの考えだ。

  • 令和5年(2023年):SNS型投資詐欺2,271件・約277.9億円/ロマンス詐欺1,575件・約177.3億円
  • 令和7年(2025年)確定値:SNS型投資詐欺9,523件・1,288.0億円/SNS型ロマンス詐欺5,645件・546.4億円
警察庁による令和7年SNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況
(出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」)

送金する前に、もう一度確かめておきたいこと

ここまで、この手口の型を三つに分けて確かめてきた。 人物設定の作り方、投資サイトの実体、そして出金時に起きる「無限ループ」だ。

もし今、実際に送金や入金の場面が近いなら、送金前の確認手順は別記事に譲りたい。 そちらのマッチングアプリやSNSで知り合った相手からの投資勧誘を扱った記事 に、送金前のチェックリストを詳しくまとめてある。

ここに挙げる確認ポイントは、一つずつ自分の手で埋めていくためのものだ。

型を知ったら、次はあなた自身の状況に当てはめて確かめる番だ。

判断するときに押さえたいこと

ここまでのチェック項目を、あなた自身の手で埋めてみてほしい。 警察庁の定義・統計、国民生活センターの相談事例、金融庁の無登録業者への注意喚起——タダシが公開情報で確認できたのはここまでだ。 いま実際にやり取りしている相手や投資サイトがあって、確認ポイントを一緒に整理してほしいときは、LINEでスクリーンショットを送ってほしい。 相手を詐欺師だと決めつけるつもりはない。 最終的に判断するのは、あなた自身。 ただ、その判断材料を増やすお手伝いだけは、タダシがします。

申し込む前の確認リスト
  • 関係が始まってから、投資や送金の提案が出るまでの期間を、自分で振り返って確認した
  • 「叔父は投資アナリスト」等、第三者の専門家の存在を自分自身では確認できていないとわかっている
  • 案内された投資サイトの運営会社名・所在地・金融庁の登録の有無を、金融庁の登録業者一覧や無登録業者の名称公表で確認した
  • 出金しようとしたときに、「税金」「マネロン調査費」「口座凍結解除金」等の名目で追加送金を求められていないか確認した
  • 投資サイトのドメイン取得日をWHOIS検索で確認し、開設からの期間が不自然に短くないか確かめた
  • 一人で抱え込まず、消費者ホットライン188・警察相談専用電話#9110等の公的窓口に相談する準備がある
運営者 タダシ株選びナビ 運営者
タダシ
編集者から、読むときのひとこと

情報をひとつに絞らず、運営情報・料金・条件をそれぞれ確かめてみてください。判断に迷う点があれば、一緒に整理します。

出典・参考情報