「2分で930万円」「たった1日で約1855万円」——そんな数字が並ぶFXの無料講座「億のマスタープログラムFX」の広告を、SNSや検索で見かけたことがあるかもしれない。 講師は奥谷隆一氏、運営は株式会社Logical Forexとされている。 LINE登録をすると、全3回の無料解説動画が届くという案内だ。 その「なんとなく引っかかる」という感覚は、たいてい正しい。 止めもしないし、押しもしない。 申し込む前に、タダシと一緒に確かめておきたいことがいくつかある。 なお、この記事は「億のマスタープログラムFX」「奥谷隆一」「株式会社Logical Forex」を違法・詐欺と断定するものではない。 タダシが公開情報で確認できた事実と、確認できなかったことを分けて、淡々と整理していく。
「2分で930万円」「たった1日で約1855万円」とうたうFXの無料講座「億のマスタープログラムFX」(講師:奥谷隆一、運営:株式会社Logical Forex)を、タダシが公開情報の範囲で確認する。 広告実績に必要な証拠金の規模、運営会社の旧社名からの商号変更履歴、金融庁の無登録業者リストとの照合を整理した。
この記事の目次
まず一度立ち止まる——「2分で930万円」「30年間語らなかった手法」という広告
SNS広告や検索結果に、「奇跡の1分足スキャル 億のマスタープログラムFX」という文字を見たことがあるかもしれない。 広告にはこんな数字が並ぶ。 「2分で930万円」 「15連勝で2807万円」—— 講師とされる奥谷隆一氏の顔写真と一緒に、次々と強い数字が目に入ってくる。
広告にはさらに、 「多数書籍・テレビ出演の天才トレーダーが30年間語らなかった、最速で億を稼ぐトレード手法」 という説明も添えられている。 参加方法は「ボタンを押すだけ」、 「知識・経験・学歴は関係ありません」ともうたわれている。
登録にはメールアドレスや公式LINEの案内が必要で、 登録後には全3回の非売品解説動画が届く流れになっている。 なお、この記事は「億のマスタープログラムFX」「奥谷隆一」を違法・詐欺と断定するものではない。 タダシが公開情報で確認できた事実と、確認できなかったことを分けて、淡々と整理していく。
- 広告の実績表現(「2分で930万円」等)を、そのまま鵜呑みにせず一次資料で確認する
- 「知識・経験・学歴不問」「ボタンを押すだけ」といった参加のハードルの低さの訴求に注意する

広告の実績「1日で約1855万円」に必要な証拠金を確かめる
広告に掲載されている実績画面を見ると、 「たった1日で約1855万円」という取引履歴が示されている。 使われている取引数量は100ロット(1000万通貨)で統一されていることが確認できる。
この規模の取引に、実際どれだけの資金が必要になるのか—— ここを、まず確かめておきたい。 日本の個人向け店頭FX取引には、金融先物取引業協会が解説する証拠金規制がある。
2011年8月以降、個人のFX取引は取引額(想定元本)の4%以上の証拠金を預けることが義務付けられている。 これは、いわゆる「レバレッジ上限25倍」の規制だ。
この規制にあてはめると、1000万通貨(100ロット)を建てるには、 為替レートにもよるが数千万円単位の証拠金が必要になる計算になる。 例えば1ドル150円のときにドル円で1000万通貨を建てる場合、 想定元本は約15億円、必要証拠金はその4%でタダシの試算では約6000万円だ。
手元資金30万円で同じ取引をしようとしても、 建てられるロット数はごくわずかで、 広告のような利益額にはならない。 「勝率」や「手法」の話の前に、そもそもその取引量を動かせる資金があるかが先だ。 「簡単そう」と「同じ結果を再現できる」は、分けて考えておきたい。
- 100ロット(1000万通貨)の取引に必要な証拠金は、想定元本の4%以上(レバレッジ上限25倍規制)
- 1ドル150円・1000万通貨のケースでは、想定元本は約15億円、必要証拠金は約6000万円(タダシの試算)
- 手元資金30万円で同じ手法を試しても、建てられる取引量はごくわずかにとどまる

運営会社「株式会社Logical Forex」を特定商取引法の表示で確かめる
億のマスタープログラムFXの特定商取引法に基づく表示を確認すると、 販売業者は株式会社Logical Forex、 運営責任者は工藤総一郎氏、 所在地は東京都墨田区錦糸1丁目2番1号と記載されている。
特定商取引法に基づく表示(特商法表示)とは、 通信販売で事業者が名乗るときに義務付けられている表示のことだ。 事業者の氏名・住所・連絡先などが、ここに明記される。
この会社が実在するかどうかを、次に国税庁の法人番号公表サイトを使って確かめていく。
- 特商法表示に記載された販売業者名・所在地を、自分でスクリーンショットに残しておく
- 運営責任者名を、他の案件の特商法表示と照合してみる

国税庁の法人番号で、旧社名とクロスグループとの関係を確かめる
特商法表示にあった「株式会社Logical Forex」を、国税庁法人番号公表サイトで照会してみた。 法人番号5011101065281、現在の所在地は東京都墨田区錦糸1丁目2番1号——特商法表示と一致する。
ただし、変更履歴には旧社名「グローバル・ロイズ株式会社」が記載されている。 2020年7月21日に、この社名から現在の商号へ変更されたことが確認できる。
同社は「クロスリテイリング株式会社」の公式サイトでも、クロスグループに所属する法人として紹介されている。 クロスリテイリングの会社概要に記載された所在地も、株式会社Logical Forexの登記上の所在地と一致している。
クロスグループは、多くのFX教材を展開してきたグループとして知られている。 次々と講師や商材名を変えながら展開する手法は、このグループに共通する傾向として指摘されている(伝聞、裏は取れていない)。 同じグループの別の講師による商材については、キングスキャルFX(山口孝志)は大丈夫?「誰もが年収1億円」の完全自動EAを公開情報で確かめるでも確認している。
また、金融庁が公表する「無登録で金融商品取引業を行う者」の一覧を確認したところ、 2026年8月時点で「株式会社Logical Forex」「グローバル・ロイズ」「クロスリテイリング」いずれの名称も掲載は確認できなかった。 ただし、これは無登録業者リストに載っていないという事実の確認にとどまる。 金融庁は、金融商品取引業を行う業者はすべて内閣総理大臣への登録が必要だとしている。 無料講座の先で投資助言や資金の運用にあたる勧誘を受けた場合は、この登録の有無を確認することをおすすめする。
- 国税庁法人番号公表サイトで、社名の変更履歴を自分でも確認する
- 金融庁の登録業者一覧・無登録業者リストで、案内された会社名を検索する

未認証のLINEアカウントと、開始日がずれる無料講座
広告から登録すると案内されるのは、「奥谷隆一【公式】」というLINE公式アカウントだ。 このアカウントを開くと、「このアカウントは未認証アカウントです。 投資など金銭に関連するメッセージには十分注意してください」という警告表示が出る。
登録後に届くメッセージには、 「これから全3回に渡り、『特別マスタープログラム』こちらの無料講座をあなたにお届けします」 とあり、 第1回目の講義開始日として「8月21日(金)13時から」と案内されている。
一方、広告バナーには「8月17日(月)お昼12時スタート」と表示されている。 この2つを見比べると、広告の告知とLINE登録後の案内で、開始日に4日のずれがあることが確認できる。
未認証アカウントであることや、開始日のずれが、 それだけで即座に問題があるという意味ではない。 ただ、投資や金銭に関わる案内を受け取る窓口としては、自分の目で認証状況や案内の整合性を確認しておきたいところだ。
- LINE公式アカウントの認証マーク(バッジ)の有無を確認する
- 広告ページとLINE登録後の案内で、開始日や条件が一致しているか見比べる

講師の経歴と、同じ入口の構図への公的機関の注意喚起
講師とされる奥谷隆一氏について、 第三者の検証サイトでは「投資歴20年」という記載と「30年間、誰にも語らなかった手法」という記載が同居しているという指摘がある。 これはタダシが一次資料で確認できた事実ではなく、複数の第三者検証記事が共通して指摘している内容(伝聞、裏は取れていない)として紹介する。
また、口コミ(二次情報)では、 奥谷氏が過去に案内したとされる別のFX商材について、 集団訴訟に向けた動きが報告されているという情報も見られる。 ただし、これもタダシが一次資料で裏を取れていない情報だ。
無料の入口から高額プランへ誘導される構造は、他の案件でも共通している。 遠山塾・遠山流トレード(東大流FX)は稼げる?申し込み前に公開情報で確かめておきたいことでも、無料の先にある仕組みを確認している。
こうした「無料から入り、後で高額な契約に変わる」構図は、公的機関も繰り返し注意を呼びかけている。 消費者庁は、SNSをきっかけにした投資・副業の「もうけ話」に関する相談が、各地の消費生活センターに引き続き寄せられていると注意を呼びかけている。
国民生活センターも、簡単に高額収入を得られるという副業や投資の儲け話について、情報商材トラブルへの注意を呼びかけている。 国民生活センター「簡単に高額収入を得られるという副業や投資の儲け話に注意!」より。 不安な点があれば、案件名・URL・LINEで届いた案内のスクリーンショットを持って、一度LINEで相談してみてほしい。
- 過去の商材名(講師名)で検索し、別の評判が出てこないか確認する
- 気になる点があれば、スクリーンショットを添えて無料相談窓口に確認する
判断するときに押さえたいこと
ここまでのチェック項目を、あなた自身の手で埋めてみてほしい。 タダシが公開情報で確認できたのはここまでだ。 株式会社Logical Forexの実在は、国税庁の法人番号公表サイトで確認できた。 一方で、旧社名「グローバル・ロイズ株式会社」から2020年に商号変更していること、広告の利益実績を出すには数千万円単位の証拠金が必要になる計算であること、案内されるLINEアカウントに未認証アカウントの警告表示があり広告とLINE案内で開始日が4日ずれていること——これらは、確認できた事実として並べておく。 詐欺だ、違法だと決めつけるつもりはない。 ただ、お金や個人情報を入力する前に、このチェック項目だけは、あなた自身でも確かめておきたい。 最終的に判断するのは、あなた自身。 ただ、その判断材料を増やすお手伝いだけは、タダシがします。
- 広告の利益実績(「1日で約1855万円」等)を出すのに必要な資金(証拠金)を、自分の手元資金と比較したか
- 特定商取引法に基づく表示に、会社名・所在地・運営責任者が明記されているかを確認したか
- 国税庁の法人番号公表サイトで、運営会社の実在と社名変更の履歴を確認したか
- 金融庁の登録業者検索・無登録業者リストで、案内された会社名を確認したか
- 案内されたLINE公式アカウントに、未認証アカウントの警告表示がないかを確認したか
- 「勝率」「月収」より先に、講師の経歴を裏付ける一次資料があるかを確認したか

タダシ
情報をひとつに絞らず、運営情報・料金・条件をそれぞれ確かめてみてください。判断に迷う点があれば、一緒に整理します。