「投資スクールは本当に意味がない?」——そんな中立的なタイトルの記事を読んでいたら、 冒頭・中盤・末尾の3箇所に、まったく同じ広告バナーが置かれていた。 「資産7.7倍増の投資術」——そう訴える先は「元証券マンITSUKI」の「Stock Info」。 ITSUKI氏は旧帝大卒業後、国内大手証券で10年、独立後は専業投資家、 現在は資産運用会社で常時30億円程度を運用していると自己紹介している。 ただしこれらの経歴はすべて本人の自己申告で、タダシが探した範囲では第三者による裏付けは見当たらなかった。 ただ、止めもしないし、押しもしない。 LINEの登録ボタンを押す前に、タダシと一緒に確かめておきたいことがいくつかある。 なお、この記事は「元証券マンITSUKI」および運営者「Stock Info」を違法・詐欺と断定するものではない。 タダシが公開情報で確認できた事実と、確認できなかったことを分けて、淡々と整理していく。
「投資スクールは意味がない?」という中立的な記事の冒頭・中盤・末尾に、「元証券マンITSUKI」の「資産7.7倍増の投資術」という同じ広告バナーが置かれていた。 運営元Stock Infoの連絡先、ITSUKI氏の経歴、LINE登録の導線について、タダシが公開情報で確認できたことと、できなかったことを分けて整理する。
この記事の目次
「投資スクールは意味がない」という記事の中で、まず一度立ち止まりたい理由
「投資スクールは本当に意味がない? 後悔しないための見極め方と賢い学び方」 という記事を読んで、 ひとつだけ立ち止まりたいところがあった。 投資スクール全般について、 メリットとデメリットの両方を並べて紹介する、 一見中立的な作りの記事だ。
ただ、今回タダシが確かめたいのは、 投資スクールに通うことの是非そのものではない。 この記事には、冒頭・中盤・末尾の3箇所に、 同じ「資産7.7倍増の投資術」という 誘導バナーが繰り返し置かれている。 実際のバナーは、この記事の冒頭に置いた画像の通りだ。
クリックすると、stock-info.jimdofree.comという、 記事とは別のドメインへ移動する作りになっている。 移動先は「元証券マンITSUKI」を名乗るページで、 LINE公式アカウントへの登録を促す内容だった。 同じバナーが3箇所に置かれていること自体は、 記事を実際に確認すれば誰でも見て取れる事実だ。
投資スクールに通うべきかという話と、 その記事の中にあるバナーの中身は、 本来は別の話のはずだ。 ここを一緒くたにしないことが、 今日確かめておきたいことの出発点になる。
似た構図は、他の記事でも見たことがある。 投資セミナー・スクールに申し込む前に確かめたいことは?公開情報での見分け方では、 セミナーやスクールへ申し込む前に確認しておきたいポイントを整理した。 今回はその視点を踏まえつつ、 バナーの遷移先そのものに絞って確かめていきたい。
記事が投資スクールに中立的だから、
中のバナーも信頼できるという思い込みは、
いったん外しておきたい。
記事の評価と、
バナーの遷移先が指すサービスの実態は、
別々に確かめておきたい。
この先の項目で、順番に見ていこう。
「元証券マンITSUKI」の経歴を、公開情報で確かめる
stock-info.jimdofree.comのLPには、 「元証券マンITSUKI」の略歴を紹介するボックスがある。 下に置いた画像が、そのボックスをそのままキャプチャしたものだ。
内容を整理すると、 旧帝大卒業→国内大手証券で10年間ECM業務(株式の新規上場・増資を担当する引受部門の業務)→独立し専業投資家→現在は資産運用会社で常時30億円程度を運用—— という4段階の経歴が並んでいる。 タダシは、この一つひとつについて、 裏付けとなる資料が無いか探してみた。
検索した範囲では、 いずれの項目についても、 本人の発信以外に確認できる資料は見当たらなかった。 卒業を示す名簿や、 証券会社の在籍を示す社内資料、 ECM業務の実績を示す引受公表資料—— こうした第三者の記録は、タダシが探した範囲では一つも出てこなかった。
「旧帝大卒」「10年」「30億円」—— 具体的な数字が並ぶと、 それだけで説得力があるように感じてしまう。 ただ、この数字を裏付ける一次情報は、 タダシが探した範囲では見当たらなかった。
金融庁は「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」というページで、 「著名人を騙るSNS上の広告等を通じて投資を行った結果、出金できなくなった等の相談も寄せられています」 と注意を呼びかけている。 そのうえで、 「取引をする業者が暗号資産交換業や金融商品取引業の登録等を受けているか、『金融庁から免許・許可・登録等を受けている金融事業者検索』にてご確認ください」 とも説明している。 経歴や実績を強調する勧誘ほど、 肩書きを鵜呑みにせず確認するという姿勢を崩さずにおきたい。
- 旧帝大卒業——自己申告のみで、裏付ける在籍記録や卒業資料は確認できなかった
- 国内大手証券で10年間のECM業務——証券会社名・在籍時期の記載はなく、公表資料は見当たらなかった
- 独立・専業投資家——独立の時期や経緯を示す記録は確認できなかった
- 現在は資産運用会社で常時30億円程度を運用——会社名の記載はなく、運用実績を裏付ける第三者資料は見当たらなかった

運営元「Stock Info」の実在を確かめる
誘導バナーの遷移先には、運営者情報をまとめたページが用意されていた。 「投資顧問ジャーナル」は信じてよい?相場ニュースの広告で見かけたら確かめたい確認ポイントでも触れたように、 情報コンテンツの隣に置かれた広告は、運営元を自分の目で確かめておきたい。 今回もその手順で、 stock-info.jimdofree.com/about-1/のページを確認してみた。
ページには、 サイト名「Stock Info」、 責任者「元村正樹」という名前が記載されていた。 連絡先の欄を見ると、 用意されているのは問い合わせフォームのみで、 住所や電話番号の記載は、 タダシが探した範囲では見当たらなかった。 実際のページの様子は、下のキャプチャの通りだ。
サイト名と責任者名は、はっきり書かれている。 ただ、住所や電話番号までは、 タダシが探した範囲では見つからなかった。 ここから先は、 次の項目で確かめていきたい。
- サイト名:Stock Info(○)
- 責任者名:元村正樹(○)
- 連絡先:問い合わせフォームのみ(△)
- 住所:記載なし(×)
- 電話番号:記載なし(×)

「無登録業者リストに載っていない」=「安全」ではない、という注意書き
金融庁は、無登録で金融商品取引業を行う業者の名称を公表している。 タダシはこのページで、 気になる名称を実際に検索してみた。 結果は、いずれも該当なしだった。
ただし金融庁自身が、 「掲載されていない者でも、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ます」と明記している (出典:金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」)。 つまりこのリストは、 「載っていたら危険」を教えてくれるものであって、 「載っていなければ安全」を保証するものではない。
ここは、率直な感想として書いておきたい。 「リストに無いから大丈夫」と早合点しないこと。 過去に警告を受けた記録が見当たらなかった、 というだけの話だ。
だからこそ、 確かめるべきは「リストに名前があるかどうか」ではなく、 登録の有無そのものだ。 金融庁の免許・許可・登録等を受けている事業者一覧や、 金融事業者一括検索で、 運営者名を自分の目で確かめておくのが筋だ。
- 「ITSUKI」で検索 → 該当なし
- 「Stock Info」で検索 → 該当なし
- 「元村正樹」で検索 → 該当なし
- 「ialoop.net」で検索 → 該当なし

SNS実績スクショとLINE登録導線——断定的な勧誘には法律のブレーキがある
LPには、 SBI証券の資産残高や、 合計損益+1500万円超をうたうSNS実績スクショが並んでいる。 目を引く数字のすぐそばに、 LINE公式アカウントへの登録ボタンが置かれている——という導線になっている。 まずは、この流れを順番に整理しておきたい。
登録ボタンのリンク先を確認すると、 https://ialoop.net/lineadd?ap=QuZFxGAIma という、 第三者のトラッキングサービスを経由する仕組みになっている。 ialoop.netの運営主体については、 今回のリサーチでは特定できなかった。
ここは率直な感想として書いておきたい。 SNSの実績スクショは見た人の目を引くが、 それが本人の実績なのか、加工された画像なのかは、 記事を読むだけでは区別がつかない。 登録ボタンの先が、聞いたことのないサービスを経由している、という事実も、 押す前に知っておきたい。
ここで、 法律の物差しも当てておきたい。 金融庁は「無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください」で、 「日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは、禁止されています」と明記している。
さらに金融庁の「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針(投資助言・代理業)」を踏まえると、 LINEなどで個別・継続的に投資情報を配信する形態は、 一般論として投資助言・代理業の登録が必要になり得る。 これは、 ITSUKI氏個人やこのLPが違法だと断定するものではない。 タダシが確認できたのは、 LPの導線と、 法律上の一般的な枠組みまでだ。
- ①SNS実績スクショの提示:SBI証券の資産残高、合計損益+1500万円超などの数字
- ②「元証券マン」という肩書の強調:発信者の信頼性を印象づける文脈
- ③LINE公式アカウント登録ボタン:数字のすぐ下に設置
- ④ialoop.net経由のトラッキングリンク:登録ボタンを押すと第三者サービスを経由
同じバナーが、ジャンルの違う複数の記事に挿入されている
ここまで、「元証券マンITSUKI」「Stock Info」の 「資産7.7倍増の投資術」というバナーそのものを確かめてきた。 ここでもうひとつ、タダシが気になっている点を整理しておきたい。 この同じバナーが、ジャンルの違う複数の記事に挿入されている、という事実だ。
ひとつは、2026年7月12日に 株選びナビですでに検証した記事だ。 投資家STFの経歴は本物?記事内の誘導バナーを確かめるでは、 実在の個人投資家STF氏の経歴紹介記事の中に、 この「資産7.7倍増の投資術」バナーが置かれているのを確認した。 STF氏の経歴そのものは、松井証券公式YouTubeや日本経済新聞にも 取り上げられた実在の投資家だと、タダシは公開情報で確認できている。
もうひとつが、今回タダシが検証している記事だ。 2026年8月5日に公開された、 投資スクールの是非を論じる記事(ifs-assessment.jimdofree.com)にも、 同じバナーが挿入されている。 記事のテーマは「投資スクールに通う意味があるかどうか」であって、 STF氏の経歴紹介とはまったく違う切り口だ。 それでも、記事の途中に置かれている広告は、 同じ「元証券マンITSUKI」「Stock Info」のバナーだった。
似た構図を、別の記事でも確かめたことがある。 「+420%」の実績は確認できる?市況記事にある2つの誘導バナーを確かめるでは、 1つの記事の中で見た目の違う2つのバナーが、 実は同じLINE公式アカウントにつながっていた。 今回のケースはその逆で、 見た目も文言も同じバナーが、内容の違う複数の記事に貼られている。 形は違うが、どちらも広告が個別の記事の内容と切り離されて機械的に配置されているという点では、同じ構造だと思う。
投資スクールの記事、投資家の経歴紹介の記事——テーマはまったく違う。 それなのに、貼られている広告だけは同じだった。 これはITSUKI氏個人の経歴とは別に、 広告の置かれ方そのものの問題として、 タダシは意識しておきたいと思う。
- 投資家STFの経歴紹介記事(株選びナビが2026年7月12日に検証済み):ジャンル=著名投資家の経歴紹介/挿入バナー=「資産7.7倍増の投資術」「元証券マンが教える【禁断の投資術】」
- 投資スクールの是非を論じる記事(ifs-assessment.jimdofree.com・2026年8月5日公開):ジャンル=投資スクールの評価・比較/挿入バナー=同じ「元証券マンITSUKI」「Stock Info」の「資産7.7倍増の投資術」バナー
著名性を借りた投資勧誘は、公的統計でも増えている
金融庁は SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意くださいというページで、 こうした手口の型を四段階に整理している。 まず、 著名人や専門家の写真・肩書きを無断で使った偽アカウント・偽広告が作られる。 次に、 そのSNS上の偽広告やURLをきっかけに、 「LINEのグループへの参加や詐欺サイトへのアクセス」へ誘導される。
グループの中では特定の銘柄への投資が勧誘され、 「口座開設や入金」を求められる。 そして出金しようとする段階になって、 「出金時に高額な手数料や税金の支払いといった名目」で、 追加の入金を要求される——という流れだ。
同じ入口のトラブルは、 相談の現場でも増えている。 国民生活センターは、 SNSをきっかけに著名人を名乗る・つながりがあるなどとして勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増したと公表している。 相談件数は、 2021年度の52件から2023年度には1,629件へと、 急増している。
これは、 ITSUKI氏のLPそのものが同じ手口だと断定するものではない。 タダシが確認できたのは、 LPの構成とLINE誘導の流れまでで、 それ以上のことは言えない。 ただ、 「元証券マン」という肩書きへの信頼と、投資勧誘が同居する構図そのものには、 公的機関が繰り返し注意を呼びかけている、 という事実は押さえておきたい。
これはITSUKI氏個別の話というより、 著名性や専門家という肩書きと投資勧誘が同じ場所に置かれる構図全体に向けられた注意だと、 タダシは受け止めている。

判断するときに押さえたいこと
ここまでのチェック項目を、あなた自身の手で埋めてみてほしい。 ✓が付かない欄が多いほど、立ち止まる理由は増えていく。 タダシが確認できたのは、「元証券マンITSUKI」の経歴が本人の自己申告にとどまり第三者の裏付けが見当たらないこと、 運営者「Stock Info」の連絡先が問い合わせフォームのみであること、 金融庁の無登録業者の名称公表リストには該当が見当たらなかったこと、 そして同じ「資産7.7倍増」のバナーが、投資スクールの是非を論じる記事を含む複数のジャンルの異なる記事に挿入されていること——ここまでだ。 ITSUKI氏やStock Infoを詐欺だと決めつけているわけではない。 ただ、経歴の話と、記事に貼られた広告の中身は、別々に確かめる必要がある。 最終的に判断するのは、あなた自身。 ただ、その判断材料を増やすお手伝いだけは、タダシがします。
- バナーの遷移先ページの運営者情報に、住所・電話番号など自分の目で確認できる記載が揃っているか確かめた
- 発信者(ITSUKI)の経歴を裏付ける第三者の記事・報道が見つかるか、自分で検索した
- 運営者名・LINE誘導サービス名を、金融庁「金融事業者一括検索」・無登録業者の名称公表で確認した
- LINE登録ボタンのリンク先が、第三者トラッキングサービス(ialoop.net等)を経由していないか確認した
- 同じ広告バナーが、内容の異なる複数の記事に挿入されていないか、記事を横断して確認した
- 「7.7倍」など具体的な倍率の表現を、断定的な勧誘として鵜呑みにしないよう意識した

タダシ
情報をひとつに絞らず、運営情報・料金・条件をそれぞれ確かめてみてください。判断に迷う点があれば、一緒に整理します。