まとめサイトや予想サイトで「ICP(Internet Computer)は今後の値上がりが期待できる」という将来チャートを見かけて、気になっている——そんな人に向けた記事だ。 分散型クラウドをうたう海外発の暗号資産で、サイトによっては「いま仕込んでおけば」といった調子で勧めてくることもある。 結論から言う。 個人サイトが描く「将来の価格予想」は、当たる保証のないひとつの見立てにすぎない。 買う前に確かめることがいくつかある。 今日はその確認ポイントを、タダシと一緒に公開情報で一つずつ見ていこう。 「詐欺だ」と決めつける話ではなく、自分で確かめるための整理だ。

この記事の要点

「ICP(Internet Computer)はこれから爆上げする」と、個人運営の予想サイトが将来チャートを示して案内している——そんなページを見て気になっている人に向けて、買う前に確かめておきたい確認ポイントを、金融庁・国民生活センター・法令の公開情報をもとに中立の視点で整理する。

この記事の目次
  1. 「ICP(Internet Computer)」は、どんな案件として語られているか
  2. ①「将来チャート・価格予想」という入口に立ち止まる
  3. ②扱う銘柄・業者が「登録された正規の交換業か」を確かめる
  4. ③ 暗号資産そのものの「価格変動リスク」を直視する
  5. ④「別の有望案件へ乗り換え」という二段構えに注意する
  6. ⑤ 不安なとき・おかしいと感じたときの相談先
  7. ここまでで、わかったことを整理する
  8. 判断するときに押さえたいこと
  9. 出典・参考情報

「ICP(Internet Computer)」は、どんな案件として語られているか

株選びナビでいつも最初にやるのは、「これは何の話なのか」を、事実と未確認をきちんと分けて並べることだ。 ICP(Internet Computer)は、ブロックチェーン上で動く分散型クラウドをうたう暗号資産トークンで、公式サイトによればスイスのDFINITY財団が開発を進めている。

客観データで確かめられる範囲では、CoinGeckoのInternet Computer(ICP)のページで、2021年5月に上場した直後に過去最高値(700ドル前後)をつけ、その後は最高値から大きく下落した水準で推移していることが分かる。 「大手企業が牛耳るインターネットに対抗する」といった大きな構想で語られてきた銘柄だ。

ここで分けて考えたいのが、「予想サイトに書かれている将来の値上がり期待」と「公開情報で確かめられる事実」は別だという点だ。 だから私は、この銘柄を「詐欺だ」と断定はしない。 できるのは、こうした暗号資産を予想サイト経由で勧められたときに、自分で確かめるための“見どころ”を示すことだ。 ここから、その確認ポイントを順番に見ていく。

金融庁の暗号資産の利用者向けページ
国内で暗号資産の交換サービスを行うには登録が必要で、金融庁は利用者に注意を呼びかけている。(出典:金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」)

①「将来チャート・価格予想」という入口に立ち止まる

まず引っかかりたいのが、「この先こう上がる」という将来チャートや価格予想そのものだ。 もっともらしいグラフが描かれていても、暗号資産の将来価格を当てられる人はいない。 あくまで一つの見立てであって、外れても誰も責任を取らない。

参考になるのが法律のものさしだ。 金融商品取引法は、登録を受けた業者に対して、「不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて……勧誘をする行為」を禁止行為として定めている。 つまり、正規の登録業者なら「必ず上がる」「確実に値上がりする」とは言えない

裏を返せば、個人運営の予想サイトはこの枠の外にいる。 だからこそ気軽に「爆上げ」と書けてしまう、とも読める。 断定的な将来予想ほど、登録業者なら言えない言葉だという前提で眺めると、入口の見え方が変わってくる。

金融庁のSNS投資詐欺広告情報受付窓口ページ
金融庁は、SNS上の投資詐欺が疑われる広告の情報受付窓口を設けている。(出典:金融庁「SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口」)

②扱う銘柄・業者が「登録された正規の交換業か」を確かめる

次に確かめたいのが、その暗号資産を扱う業者が正式に登録されているかだ。 金融庁は、「日本の居住者を相手に、株取引やFX取引、暗号資産取引などの金融商品取引業・暗号資産交換業を行う者は、日本の法令に基づき、登録を受ける必要があります」「日本で登録を受けずに金融商品取引業や暗号資産交換業を行うことは違法です」と明記している。

そのうえで金融庁は、無登録で金融商品取引業や暗号資産交換業を行っているとして警告書を出した業者の名称を一覧で公表している。 勧められた取引所や業者の名前を、この公表ページで一度照らし合わせることができる。

海外発の暗号資産を、日本語の予想サイト経由で知った場合はとくに、「どこの・登録を受けた業者で買うのか」が曖昧になりやすい。 名前が見当たらないからといって安全とは言い切れないが、確かめずに入金してしまうより、はるかに足元が固まる。

金融庁の無登録業者の名称公表ページ
金融庁は、無登録で金融商品取引業を行うとして警告書を出した業者の名称を公表している。(出典:金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」)

③ 暗号資産そのものの「価格変動リスク」を直視する

将来の値上がりを思い描く前に、暗号資産そのものの値動きの大きさを直視しておきたい。 金融庁はトークンについて、「トークンは、価格が急落したり、突然無価値になってしまう可能性があります」と注意喚起している。 同じ文書には、利用者は「自己責任で取引を行う必要があります」とも書かれている。

ICPの値動きも、まさにこの「急落」が現実に起きた一例だと言える。 前述のとおり、上場直後の2021年5月に最高値をつけ、その後は最高値から大きく水準を下げている。 「分散型クラウドで伸びる」という物語と、実際の価格の推移は別物だった時期がある、ということだ。

新しい技術の名前がつくと、つい将来の上昇だけに目が向く。 だが公的機関がはっきり「急落・無価値化の可能性」と書いている以上、上がる場面ではなく、下がったときに耐えられる金額かを先に考えておきたい。

金融庁による無登録業者は高リスクとの注意喚起ページ
金融庁は、無登録業者との取引は高リスクだと注意喚起している。(出典:金融庁「無登録業者との取引は要注意」)

④「別の有望案件へ乗り換え」という二段構えに注意する

予想サイトの中には、ある銘柄を紹介しながら、最後に「いま狙うならこちらの案件」と、別の投資先への乗り換えを勧めるつくりのものがある。 話題の銘柄の解説を入口にして、別の商品や有料情報へ誘導する流れには、いったん立ち止まりたい。

気をつけたいのは、こうした“次の一手”として案内される案件ほど、登録の有無や運営主体が確かめにくいことだ。 話題の銘柄を入口にして、別の商品へ誘導する構図は、それ自体が立ち止まるサインになり得る。

勧められた案件は、紹介の勢いに乗らず、もう一度①②に戻って、「登録業者か」「断定的な予想で釣られていないか」を一つずつ確かめ直したい。 乗り換え先こそ、慎重に。

⑤ 不安なとき・おかしいと感じたときの相談先

もし「強く勧誘されて困っている」「入金してしまったが不安だ」という段階なら、一人で抱えずに公的な窓口に相談したい。

国民生活センターは、SNSなどで勧誘される詐欺的な暗号資産の投資話について「被害回復は困難です」と注意を促し、消費生活に関する相談は「消費者ホットライン188(局番なし)」に電話するよう案内している。

「もうかった人がいるらしい」という話だけで判断しない。 少しでも引っかかったら、入金や追加の支払いをする前に、188に電話して状況を話してみる。 それだけで、立ち止まるきっかけになる。

国民生活センターのSNS投資トラブル急増の注意喚起ページ
国民生活センターは、SNSをきっかけとした投資トラブルの急増に注意を呼びかけている。(出典:国民生活センター)

ここまでで、わかったことを整理する

整理しよう。 ICPのような暗号資産を予想サイト経由で勧められたときに気をつけたいのは、①「上がる」という将来予想を見立てとして割り引いて読む、②扱う業者が登録を受けているか、③急落・無価値化のリスクを直視する、④別案件への乗り換え誘導に立ち止まる——この4つだ。

似たケースは過去にもある。 同じく予想サイト経由で語られた暗号資産を公開情報で確かめたエバードーム(EVERDOME)の記事や、海外・無登録の暗号資産勧誘を整理したリノコイン(RINO PLUS)の記事、そもそもの仕組みを押さえる暗号資産(仮想通貨)の基礎の記事も、あわせて読むと判断材料が増える

結論は出さない。 出すのはあなただ。 下のチェックリストを、「いま買えば上がる」と勧められた“その場”で思い出してほしい。

判断するときに押さえたいこと

新しい技術の名前がつくと、つい「乗り遅れたくない」と感じてしまう。 でも、将来の価格を断言する予想ほど、その場で立ち止まる価値がある。 予想を見立てとして割り引き、業者の登録を確かめ、急落のリスクを直視し、乗り換え話には慎重になる。 不安なら188に相談する。 最終的に判断するのは、あなた自身。 ただ、その判断材料を増やすお手伝いだけは、タダシがします。

申し込む前の確認リスト
  • 「将来チャート・必ず爆上げ」という予想を、当たる保証のない見立てとして割り引いて読んだ
  • 扱う業者が暗号資産交換業などの登録を受けているか確認した
  • 金融庁の「無登録業者」公表ページに名前がないか照らし合わせた
  • 暗号資産は急落・無価値化の可能性があると理解し、下がっても耐えられる金額か考えた
  • 別案件への乗り換えを勧められたら立ち止まり、不安なときは188に相談できると知っている
運営者 タダシ株選びナビ 運営者
タダシ
編集者から、読むときのひとこと

情報をひとつに絞らず、運営情報・料金・条件をそれぞれ確かめてみてください。判断に迷う点があれば、一緒に整理します。

出典・参考情報