「20年間、1回もマイナスが無い実績」——そう言われると、長くFXや株のトレードで苦労してきた人ほど、心が動いてしまうと思う。 先に言っておく。 本記事は、この案件や運営会社を違法・詐欺と断定するものではない。 公開情報で確認できることと、確認できなかったことを分けて、淡々と整理するだけだ。 止めもしないし、押しもしない。 ただ、無料講座に登録する前に、タダシと一緒に確かめておきたいことがある。
「6年間の単利運用で1100%」「20年間、1回もマイナスが無い実績」とうたう持田有紀子氏の投資講座『3次元ベータトレード』について、広告内の実績表に記載されたマイナス月・特定商取引法表記の住所・料金と返金条件という3つの公開情報を、申し込み前に確かめておきたいポイントとして整理する。
この記事の目次
まず確認する。「3次元ベータトレード」とはどんな案件か
持田有紀子氏が講師を務める「3次元ベータトレード」は、「6年間の単利運用で1100%の利益を出した安定性」「20年間、1回もマイナスが無い実績」とうたう投資手法の無料講座だ。 広告では「相場に最適な“答え”がツールに表示され、毎日2分間、入力するだけの無裁量トレード」とも説明されている。
運営は株式会社バリュープラス(運営統括責任者:村上悠太)。 無料講座に登録するとメールで動画が順次配信され、その先に27万8,000円〜の有料メニューが案内される構成になっている。 ここから先は、広告のうたい文句そのものではなく、広告内に載っている実績表・特定商取引法表記・料金という、誰でも確認できる公開情報だけを見ていく。
①「20年間無敗」の見出しと、広告内の実績表に書かれたマイナス月の食い違い
広告のトップには大きく「20年間、1回もマイナスが無い実績」と書かれている。 ただ、その下に続く「ロジック公開後、78ヶ月間のフォワード実績」という月別損益表を見ると、2016年11月に-3.90%、2017年3月に-21.60%、2017年12月に-20.60%というように、マイナスの月がいくつも記載されている。
広告の見出しでは「1回もマイナスが無い」とうたっている。 一方で、同じ広告に載っている実績表そのものには、複数のマイナス月が記載されている——これは、タダシが広告のページを確認した範囲でそのまま見えた食い違いだ。 「実績」の意味する範囲が見出しと表とで違うのか、条件によって計算方法が異なるのか、広告の説明だけでは判断がつかない。
広告には「あくまで過去の成果であり、必ずしもこれらの成果を保証するものではございません」という注記もある。 過去の実績が将来の利益を保証しないのは投資である以上当然のことだが、見出しの強い言葉と、注記・実績表の中身との落差は、申し込む前に自分の目で確認しておきたい。

②「2年間で1億円を超える」という将来の利益の見せ方をどう見るか
広告の別の箇所には「2年間で1億円を超える」という見出しも掲げられている。 毎日2分間、ツールに表示された数字を入力するだけという手軽さと、1億円という金額の大きさが並ぶと、心が動いてしまう人もいると思う。
証券取引等監視委員会は、値上がり・値下がりが確実であるかのような断定的な判断を示して勧誘する行為について、法令違反となり得ると注意を呼びかけている。 金融商品取引法は、証券会社等が「この銘柄は絶対に値上がりします」といった断定的判断を示す勧誘を行うことを禁じている。 今回の講座がこの規制の直接の対象にあたるかをタダシが断定することはできないが、断定的な利益の見せ方には、そもそもこうした規制の枠組みがあることは知っておきたい。
「これだけの実績が出た」という過去の数字の提示と、「あなたも将来これだけ稼げる」という期待の提示は、本来は別のものだ。 過去の実績を強調する広告を見たときほど、その数字が将来を保証するものではない、という一歩引いた見方をタダシは大事にしたい。
③ 特定商取引法表記の住所「南赤坂」は、実際の町名と一致しない
広告内の「特定商取引に基づく表記」には、販売業者「株式会社バリュープラス」、運営統括責任者「村上悠太」、住所「東京都港区南赤坂4丁目8番19号 赤坂フロントタウン3階」、電話番号、メールアドレスが記載されている。
この住所を確認しようとして、タダシは引っかかった。 「南赤坂」という町名が、港区の郵便番号・住所データには見当たらない。 港区には「赤坂」「元赤坂」という町名はあるが、「南赤坂」は日本郵便の郵便番号検索にも出てこない。
一方、法人番号公表サイトのデータをもとにした企業情報サイトで「株式会社バリュープラス」(法人番号:5010401187199)を検索すると、本店所在地は「東京都港区赤坂4丁目8番19号 赤坂フロントタウン3階」(郵便番号107-0052)と記載されている。 番地・建物名は広告の記載と同じだが、「南」の一文字だけが、公開されている法人情報には無い。
移転や表記の単純な誤記の可能性も含めて、タダシがこれ以上を断定することはできない。 ただ、住所は特定商取引法表記の中でも基本的な項目だ。 申し込む前に、自分でも法人番号公表サイトや地図検索で住所を照らし合わせておくといい。

④ 有料メニューは27万8,000円〜。上限や返金条件の記載は見当たらない
広告の「提供サービス」の一覧では、無料講座は受講費用無料(動画・メール・LINEで受講)、有料メニューは受講費用27万8,000円〜(動画・PDF・メールで受講)と記載されている。
ここで確認できるのは「27万8,000円〜」という下限だけで、上限がいくらなのかは、この表からはわからない。 特定商取引法は、通信販売事業者に対して価格・支払時期や方法などの表示を義務づけているが、タダシが確認した範囲では、返品・返金に関する条件の記載は見当たらなかった。
返品特約の表示が無い場合、法律上は「引渡しから8日以内、消費者負担で返品できる」という法定のルールが適用される。 表示が無いこと自体が直ちに違法というわけではないが、27万8,000円〜という高額な有料メニューについて、返金の条件がどうなるのか申し込み前にわからないままなのは、利用者にとって不透明なリスク要因だと思う。
国民生活センターは、無料・少額の情報商材から始まり次第に高額な契約へ誘導される事例や、「100%元が取れる」「返金保証がある」とうたいながら実際には守られない事例について、一般的な注意を呼びかけている。 今回の案件がこれに当たると決めつけることはできないが、無料の入口の先に有料メニューがあり、その上限が広告に書かれていない構成自体は、一度立ち止まって確認しておきたい型だと思う。

⑤ 持田有紀子氏の経歴と、今回の投資手法の実績は別々に見る
広告に掲載されているプロフィールによれば、持田有紀子氏は野村證券で株式トレーダーを経て、同社初の女性総合職として本店営業部に配属され、2005年にアルジャントレードを設立したとされている。 書籍出版やラジオ日経「夜トレ」出演、マネー誌でのコラム執筆といったメディア実績も広告内に列挙されている。
証券会社での経歴や出版実績自体は、タダシが確認した範囲でも矛盾は見当たらない。 ただし、これらの経歴は「人物としての実績」であって、「3次元ベータトレードという投資手法で利益が出るかどうか」を裏付けるものではない。 広告に書かれた6年間1100%・20年間無敗といった実績数値そのものを、タダシが独自に裏付ける手段は持ち合わせていない。
経歴という「人物の実績」と、投資手法という「商品の実績」は、切り分けて考えたい。 経歴が本物であることと、今回の投資手法で利益が出るかどうかは、別の話だ。
ここまでで、わかったことを整理する
公開情報で確認できたのは、広告見出しの「20年間無敗」という表現と、同じ広告内の実績表に記載されたマイナス月が食い違っていること、特定商取引法表記の住所「南赤坂」が実際の町名と一致しないこと、有料メニューが27万8,000円〜で上限や返金条件の記載が見当たらないこと——ここまでだ。
一方で、この案件や運営会社を違法・詐欺と断定できる公的な記録は、タダシが確認した範囲では見当たらなかった。 広告のうたう実績数値そのものの真偽も、タダシ自身が独自に裏付けられたものではない。 確認できなかったことは、確認できなかったとそのまま書いておく。
だから結論は出さない。 出すのはあなただ。 下のチェックリストを、無料講座の先へ進む前に一つずつ埋めてみてほしい。
判断するときに押さえたいこと
「20年間、1回もマイナスが無い」という言葉に心が動く気持ちは、長くトレードで苦労してきた人ほどよくわかる。 でも、無料講座に登録する前に、広告内の実績表そのものの中身・特定商取引法表記の住所・料金と返金条件という3つを、自分の目で確かめておきたい。 口コミや評判ではなく、公開されている広告の表記そのものと登記情報で自分の手を動かして確認する。 それだけで十分だ。 最終的に判断するのは、あなた自身。 ただ、その判断材料を増やすお手伝いだけは、タダシがします。
- 広告見出しの実績表現(「20年間無敗」等)と、同じ広告内の実績表の中身が一致しているか確認した
- 特定商取引法表記の住所を、実際の地図や郵便番号検索で照らし合わせて確認した
- 有料メニューの上限額や、返品・返金の条件が明記されているか確認した
- 無料講座の先で高額な個別説明やコース案内があった場合、その場で即決せず一度持ち帰ることにした

タダシ
情報をひとつに絞らず、運営情報・料金・条件をそれぞれ確かめてみてください。判断に迷う点があれば、一緒に整理します。