「その案件、本当に申し込んで大丈夫かな」——その「なんとなく不安」は、たいてい正しい。 この記事で扱うのは、YouTubeチャンネル「バイナリー警察24時【イルカ式30秒Turbo攻略】」(登録者数1.03万人、動画445本)を運営する「イルカ先生」という発信者だ。 元警察官を自称し、サポートライン付近での反転を狙う「30秒ターボ取引」の手法を、有料サロン「ガチンコ投資サロン」で教えている。 チャンネルの概要欄には「総利益900万円以上を叩き出した再現性バツグンの【イルカ式攻略法】」という実績表示があり、「安全・堅実に毎月20万円以上」稼げるとうたう。 はじめに正直に書いておく。 本記事は、イルカ先生やガチンコ投資サロンを違法・詐欺と断定するものではない。 タダシが確認できたのは公開情報の範囲だけだ。 わかった事実と、確認できなかったことを分けて、淡々と整理していく。 最終的に判断するのは、あなた自身。 ただ、その判断材料を増やすお手伝いだけは、タダシがします。

この記事の要点

YouTubeチャンネル「バイナリー警察24時【イルカ式30秒Turbo攻略】」を運営する「イルカ先生」が、サポートライン反転×30秒ターボ取引で「安全・堅実に毎月20万円以上」稼げると謳う有料サロン「ガチンコ投資サロン」へ誘導している。 詐欺だと断定はしない。 経歴・実績表示の裏付け、バイナリーオプション取引そのもののリスク、断定的な収益表示の法的な位置づけなど、申し込む前に確かめておきたいポイントを、タダシが公開情報で整理した。

この記事の目次
  1. まず整理する——イルカ先生とガチンコ投資サロンとはどんな発信か
  2. 「元警察官」「総利益900万円」——発信者の経歴・実績表示を確かめる
  3. バイナリーオプション取引そのもののリスクを、公的機関の発信で確かめる
  4. 案内される可能性のある取引業者は、登録状況を確認できるか
  5. 「安全・堅実に毎月20万円」——SNS発の投資トラブルの型と重なる
  6. 「安全・堅実」「絶対」という言い切りには、法律上の物差しがある
  7. 判断するときに押さえたいこと
  8. 出典・参考情報

まず整理する——イルカ先生とガチンコ投資サロンとはどんな発信か

YouTubeチャンネル「バイナリー警察24時【イルカ式30秒Turbo攻略】」を見て、「イルカ先生」という人物を知った方は多いと思う。 タダシが確認した時点での登録者数はおよそ1.03万人、投稿されている動画は445本だ。

チャンネルの概要欄には「総利益900万円以上を叩き出した再現性バツグンの【イルカ式攻略法】はLINE限定」という文言があり、公式LINEアカウントへの登録を案内する導線になっている。

教えている手法は、ザックリ言うと「サポートライン付近での逆張り」だ。 価格がサポートラインに近づくと反転しやすいという考え方に基づき、30秒後の値動きを当てる「30秒ターボ取引」でエントリーする、というものだという。

この手法を、有料サロン「ガチンコ投資サロン」で教えている。 サロンでは「安全・堅実に毎月20万円以上」を稼げる、と説明されているという。

タダシがこの記事で確かめたいことは、3つに分けられる。 ひとつ目はイルカ先生という発信者自身の経歴・実績表示だ。 ふたつ目はバイナリーオプション取引そのものが公開情報でどう説明されているかだ。 みっつ目は「安全・堅実に稼げる」という言い切りの収益表示が、法律上どう位置づけられるかだ。

なお、この記事はイルカ先生やガチンコ投資サロンを違法・詐欺と断定するものではない。 タダシが公開情報で確認できた事実と、確認できなかったことを分けて、淡々と整理していく。

「元警察官」「総利益900万円」——発信者の経歴・実績表示を確かめる

タダシがまず確かめたのは、イルカ先生の経歴や実績表示だ。 チャンネルの説明文には「元警察官」という肩書と、「総利益900万円以上」という実績が記載されている。

ただ、これらはいずれもチャンネル運営者本人による自己申告だ。 タダシが確認した範囲では、経歴や利益実績を裏付ける一次情報——たとえば所属先の在籍記録や第三者機関による取引履歴の検証結果など——は見当たらなかった。

動画のサムネイルには「絶対に使ってはいけない取引業者TOP3」「5万を230億に変えた男」といった、強い言葉も並んでいる。 こうした数字や表現についても、タダシが確認した範囲では裏付けとなる一次情報を見つけられなかった。

経歴や実績が事実かどうかを外部から検証する手段は限られている。 ここは、確認できなかったこととして正直に書いておきたい。

バイナリーオプション取引そのもののリスクを、公的機関の発信で確かめる

手法の当たり外れを検証する前に、タダシはまず「バイナリーオプション取引」という金融商品そのもののリスクを確認しておきたいと思った。

国民生活センターは、次のように説明している。

「バイナリーオプション取引は、為替相場等が上がるか下がるかを予想するもので、取引期間終了時(権利行使期限)に事前に定めた権利行使価格を上回った(又は下回った)場合に、一定額の金銭(ペイアウト)を受け取ることができます。 予想がはずれれば、支払ったオプション料がすべて損失になります。 また、短期間に繰り返し取引することができるため、損失額が大きくなるおそれがあります。」

国民生活センター「無登録業者とのバイナリーオプション取引は行わないで!-SNSをきっかけにした20歳代のトラブルが目立ちます-」(2019年10月24日)にある文言だ。

金融庁も同旨の注意喚起を出している。 「バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!」では「予測が外れるとペイアウトがなく、支払ったオプション料が損失となります」「短期間に繰り返し取引した結果、多額の損失を被るおそれがあります」と説明されている。

「30秒ターボ取引」は、この「短期間に繰り返し取引できる」形態そのものだ。 反転を当てる手法の精度がどうであれ、外れれば支払った額の全額が戻らないという取引の仕組み自体は変わらない。

ここはシンプルな話だと思う。 手法の当たり外れの前に、そもそもの取引の仕組みとして「外れれば全額損失」「繰り返すほど損失が積み重なりやすい」という前提がある。 これは、イルカ先生の手法固有の話ではなく、バイナリーオプション取引という金融商品そのものの特性だ。

金融先物取引業協会の公式サイト
FX・バイナリーオプション(証拠金取引)の仕組みやリスクは業界団体の解説でも確認できる。(出典:金融先物取引業協会)

案内される可能性のある取引業者は、登録状況を確認できるか

サロンで教わった手法を実践するには、どこかの取引業者で口座を開く必要がある。 チャンネルの動画サムネイルには「ハイロー終了!涙の最終トレード」という文言も見られたが、現在ガチンコ投資サロンがどの業者への登録を案内しているかは、タダシが確認した範囲では特定できなかった。 ここは正直に「確認できなかった」と書いておく。

そのうえで、一般論として知っておきたい事実がある。 金融庁は「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」というページで、無登録のまま日本居住者向けにバイナリーオプション類似のサービスを提供していたとして名称を公表した業者の一覧を公開している。

この一覧を見ると、「HighLow」というブランド名を掲げる業者は、運営法人の名称を変えながら平成27年(Highlow Markets Pty. Ltd.)、令和元年(HLMI Ltd)、令和5年(HLMI Markets International Limited)と、過去に複数回名称公表されてきた事実が確認できる。

海外に拠点を置く業者だからといって、日本のルールの外にいるわけではない。 日本居住者を相手に金融商品取引業を行うなら、原則として金融庁への登録が必要になる——という考え方は、「バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!」でも確認できる。

タダシが指摘したいのは「イルカ先生が案内する業者=ここに載っている法人と同一だ」ということではない。 そこは確認できていない。 ただ、同じブランド名を掲げる業者が名称を変えながら繰り返し無登録業者として公表されてきた実例がある以上、案内された業者名は、あなた自身でも金融庁の一覧と照合しておく価値がある、ということだ。

金融庁の無登録業者の名称公表ページ
金融庁は、無登録で金融商品取引業を行うとして警告書を出した業者の名称を公表している。(出典:金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」)

「安全・堅実に毎月20万円」——SNS発の投資トラブルの型と重なる

国民生活センターは、バイナリーオプション取引の相談事例について、次のようにも説明している。

「全国の消費生活センター等では、為替相場等が上がるか下がるかを予想する金融商品であるバイナリーオプション取引の相談が増加しており、特に20歳代の割合が高くなっています。 相談事例をみると、SNSを通じて知り合った相手から『儲かる』などと勧められ、リスクを十分に理解しないまま、紹介された海外の業者と取引を始めるケースが多く、『業者に出金を求めても応じてもらえない』などのトラブルが目立っています。」

同資料によれば、2019年度(同年9月末までの受付分)だけで329件の相談が寄せられ、既に支払った金額は平均およそ40万円にのぼるという。 相談事例では「確実に儲ける方法を教える」「初心者でも簡単に安心して稼げる」「月100万円もの利益をあげている」といった断定的な勧誘文言も確認されている。

「安全・堅実に毎月20万円以上」という言い切りは、この事例集にある文言と型が近い。 だからといって本件が同じ結末をたどると決めつけるつもりはない。 ただ、公的機関が繰り返し注意喚起している類型と重なる表現である、ということは指摘しておきたい。

有料サロンという形式そのものについても、国民生活センターは注意を呼びかけている。 「新たな“もうけ話トラブル”に注意-オンラインサロンで稼ぐ!?-」には「近年利用者が増えている『オンラインサロン』を、ノウハウを伝えるツールまたはサロン自体をもうける手段として利用している手口がみられます」とある。

また、投資に関する情報商材のトラブルそのものについても、「簡単に高額収入を得られるという副業や投資の儲け話に注意!」で「2017年度の相談件数は6,593件と2013年度に比べ7倍超となり」と、増加が公表されている。

YouTubeやSNS経由の投資勧誘そのものについても、金融庁が「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」で注意を呼びかけている。 「返金を申し出ても返金されない」「相手と連絡が取れなくなった」といった相談が多く寄せられている、という内容だ。

金融庁のSNS投資詐欺広告情報受付窓口ページ
金融庁は、SNS上の投資詐欺が疑われる広告の情報受付窓口を設けている。(出典:金融庁「SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口」)

「安全・堅実」「絶対」という言い切りには、法律上の物差しがある

「安全・堅実に毎月20万円以上」——この種の言い切りには、実は法律上のブレーキがかかる場面がある。

消費者契約法第4条第1項第2号は、将来の利益など「将来における変動が不確実な事項」について「断定的判断」を提供し、消費者がそれを確実だと誤認して契約した場合、その契約の申込み・承諾の意思表示を取り消せると定めている。

特定商取引に関する法律第12条は、通信販売の広告について「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない」と定めている。

景品表示法にも同様の考え方がある。 消費者庁は「商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり…偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当」すると解説している

これらはいずれも一般的な法律の考え方であり、ガチンコ投資サロンが違法だと断定する根拠ではない。 ただ、「安全・堅実に稼げる」という将来の利益を保証するかのような表現が、どのような契約・広告の場面で使われているかは、申し込む前に確かめておく価値がある。

広告やLINEで見た「言い切り」の言葉と、実際にサロンで交わされる契約条件・返金条件が一致しているか。 ここを分けて確認するだけでも、判断の材料は増える。

判断するときに押さえたいこと

イルカ先生の「ガチンコ投資サロン」について、タダシが公開情報で確認できたのはここまでだ。 「元警察官」「総利益900万円以上」という経歴・実績表示は、タダシが確認した範囲では、本人の発信以外に裏付けとなる一次情報が見当たらなかった。 バイナリーオプション取引そのものについては、国民生活センター・金融庁がそろって「予想が外れれば支払った額が全額損失になる」「短期間に繰り返し取引できるため損失が大きくなるおそれがある」と注意喚起している。 案内される可能性のある海外業者についても、金融庁の無登録業者名称公表ページには同じブランド名を掲げる業者が名称を変えながら複数回掲載されてきた事実があり、申し込み前に業者名を自分で照合する価値がある。 「安全・堅実に毎月20万円以上」という言い切りの収益表示は、消費者契約法の断定的判断の提供や、特定商取引法・景品表示法の誇大広告・優良誤認の考え方に触れうる表現だと指摘できる。 ガチンコ投資サロンを違法・詐欺と断定するものではない。 ただ、お金を入れる前に、経歴・業者登録・収益表示の3つを、あなた自身の目でも確かめてほしい。 最終的に判断するのは、あなた自身。 ただ、その判断材料を増やすお手伝いだけは、タダシがします。

申し込む前の確認リスト
  • イルカ先生の「元警察官」「総利益900万円以上」という経歴・実績を裏付ける一次情報が、本人の発信以外に見当たるか
  • ガチンコ投資サロンの運営者名・所在地・連絡先・返金条件など、特定商取引法に基づく表示をLINE登録前に確認できるか
  • 案内される取引業者名を、金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」や「金融事業者一括検索」で照合できるか
  • バイナリーオプション取引そのもののリスク(予想が外れれば全額損失・短期間の反復で損失が拡大しやすいこと)を理解した上で申し込もうとしているか
  • 「安全・堅実に毎月20万円以上」といった断定的な収益表示が、広告・LP・LINEのどこにどう書かれているか
  • サロン入会後に、紹介料・アフィリエイト報酬などの仕組みが含まれていないか
運営者 タダシ株選びナビ 運営者
タダシ
編集者から、読むときのひとこと

情報をひとつに絞らず、運営情報・料金・条件をそれぞれ確かめてみてください。判断に迷う点があれば、一緒に整理します。

出典・参考情報